金型の整備

より永く金型を使っていただくために

 整備

(1) ロットごとに分解小整備を実施
(2) 数ロットを経たる後、予め定められたショット数に達したときは、中整備を実施
(3) 金型の予想ライフの1/3経過時点ごとに、大整備を実施

 整備内容
(1)小整備

小整備とは鋳造作業の終わった金型を整備係に移し、(A)から(E)の作業を行う。
(A)
押出後板を外して、押出ピン及びリターンピンを抜き取って金型の洗浄を行う。
(B)
金型の分割面やキャビティに付着している使用合金及び離型剤などのカスを取り除く。
[ 可動中子のある金型は、可動中子を取り外し摺動部に溜まった使用合金及び離型剤などのカスを取り除く。 ]
(C)
キャビティにカジリがあったり、入子ピンが曲がっていたり、溶損箇所が認められたりしたときは、交換または補修を行う。
(D)
洗浄清掃した押出ピンやリターンピンにゴミなどが付着しないよう留意する事。
特に手入時に混入した研磨材の微粒子などか充分除去されていないと、カジリの原因となるので注意する事。
(E)
摺動するピン及びピン穴には黒鉛グリスまたは二硫化モリブデン系の耐熱グリスを塗布した上で組み込むと良い。

(2)中整備

中整備とは製品の仕様やロット数によっても異なるが、小整備の範囲を超える補修が必要となった場合をいい、作業内容も多くなるが、キャビティのほかに、ランナー・ゲート・オーバフロー・エアーベントのツブレなどの 補修も含まれると考えた方が良い。
ヒートチェックやクラックの生じているキャビティについては、溶損補修が必要となる場合もある。

(3)大整備

 大整備とは金型の予想ライフの三分の一のショット数に達するごとに、おも型の分割面の歪補正等を含めた作業をいう。金型の機能及び精度の復元によって鋳造作業が円滑に行えると共に、製品精度の確保及び金型ライフの延長等を目的とする。
 おも型については、平面度及び直角度の補正をして基準面を確保する事。
キャビティ部については残留応力の生じる型組の場合ではテンパーリング相当の熱処理も併せ実施する事が望ましい。
 おも型の平面に甚だしい歪や凹凸が生じている場合は、平面研削後ガイドピン及びガイドブッシュ穴のボーリング補正を行い、オーバーサイズのガイドピン、ガイドブッシュを新製装着して、新しい基準面を確保する事が望ましい。おも型の平面を研削補正する事によって生じた入子との高さの差は、再切削して深さを補正するか、入子の厚みを研削補正する事に依って得られるようにする。
可動中子の多い主型については、関連した寸法の再現に困難な事もあるので、加工前に充分検討する事が必要である。
 消耗した押出ピン及びリターンピンは、余り高価な部品ではないので思い切って交換した方が良い。
 押出ピン穴の損耗により、バリが多くなっている部分については、超硬リーマーを用いてオーバーサイズの穴仕上げを施して、この穴のサイズに適合する押出ピンを組み込むと良い。コールドチャンバ方式の金型については、 鋳込口ブッシュ及び分流子のテーパ部の合わせ直しを行わなければならない。
 エアーベントについても深さが一定でなくなるので、再加工して従来通りに復元する作業が必要となる。



日本ダイカスト工業協同組合
ダイカスチング チェック カード
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